豆粒の悪戯

そこまで考えて二人とも本物がどちらか決めることをやめた。

だって、お互い自分が偽者じゃないという自信がないから、

本当のことが分かるのが怖かった。

さて…これからどうしようか…。

「そうだよね、紘子さんになんて説明したらいいのか…。」

うーん…。まさか本当に二人になるなんて思っていなかったから

現実的な部分をちっとも考えていなかった。

紘子さん以外の人にもどうやって説明すればいいのだろう。

二人して煮詰まっているといい案が浮かんだ。

「ねぇ、生き別れのふたごっていうのは?」

ちっ、今言おうと思ったのに。

やっぱり私なんだなぁ…コイツ。

紘子さんは自分が結婚する前の桐島家をあまりよく知らない。

というか、わざと避けているようにも感じる。

再婚前に別の場所で暮らすことを選んだ双子の片割れと

説明すれば疑いはしないだろう。

友人や近所の人たちもそうだろう。

うちの事情にはあまり触れないように気を使ってくれているから

紘子さんと同じで鵜呑みにしてくれるに違いない。

よし、これだ。

…でも、どっちが妹になるの?