豆粒の悪戯

凄い、本当に願いが叶った。

朝になると私の横で寝ていた人物が私を起こした。

私と全く同じ姿かたちをした人間だった。

というか、私そのものだった。

あの豆粒にかけた願いが叶って私は二人になったのだ。

「へぇ…豆粒凄いねぇ。」

私はその言葉に目を丸くした。なんで知っているの?

「へ?そっちこそ。私の複製のくせに。」

はぁ?複製はそっちでしょ。昨日の夜突然現れた…。

「それはそっちでしょ?私は十七年前からこの世にいます!」

話を聞くと私しか知らないような恥ずかしい

話や友人との思い出話まで知っていた。

どうやら…私が二人になるというのは私がイメージしていたものとは違うらしい。

私は『私と同じ姿をした記憶のない人間』が現れることを望んでいた。

けれど結果『姿や性格や記憶まで全部同じ人間』がでてきてしまったのだ。

向こうも私と同じことを考えたらしい。ま、当然か。

「ってことは…どっちが元々いた桐島千沙かわからないってこと?」

そういわれればそうだ。

じゃあ…もしかしたら…私が複製?