豆粒の悪戯

質問のメールだった。

友人よ、宿題は自分で覚えなさい。

歩きながら返信を打つ。

そういえば私も今日の宿題やってないなぁ…。

帰ったらやらなきゃ。でも塾の宿題もあるよ…。

ふと、ケータイについた豆粒が目に入る。

豆粒君、本気で私を二人にしてくれない?

お願いします~!両手の中にケータイを入れて一生懸命祈りを手先に集中させた。

…なーんて、おまじないに頼るなんて私らしくない。

バカみたいなことしちゃったと少し後悔しながら

ケータイをそのままポケットに押し込む。

すると、足元に何か落ちた。

あの豆粒だった。

よく見るとケータイと繋がっていた紐がプツリと切れていた。

「紐が切れたら願いが叶うの!願いが強いほど叶うのが早いらしいよー?」

友人の言葉が頭の中をかけめぐる。

まさか、っていうか…いくらなんでも切れるのが早すぎるでしょ。

偶然と自分に言い聞かせたものの、

どこかで何か起こるかもしれないと期待する自分がいた。

そのとき、もう一人の友人の言葉を思い出した。

「願いが叶うとその分不幸が来るみたいよ?」

まさか、ね。