あの子と私とあいつと君と。

先輩はお姉ちゃんに急かされるまま家に入っていった。

先輩の背中が見えるのが凄く悲しくて、
私は視線を落とした。
分かってたことじゃない。
先輩の心は、絶対私の方になんか向かないの。


「ーー真央。」


落ち着いた声、だけどどこか不安げな声で私の名を龍が呼んだ。

その声がなんだか懐かしくて、
切なくて、途端に心臓がきゅうって締まった。

ーー痛い、苦しい、切ない、懐かしい。

私は龍の胸ぐらを引っ張って、龍の胸に顔を埋めた。
「えっ、おい真央…?!」
「……ごめん、でも今だけ。」

強張ってた龍の体はすこし緩んで、
手を私の頭の上に優しく乗せた。