てくてくと少しずれている歩幅で歩く。
裕先輩は部活の話や昨日見たテレビの話、いろんな話をしてくれた。
私の分からない単語は使わない。
事細かに説明もいれてくれる。
ほんの些細な事でも、先輩にとって当たり前の事でも
その一つ一つが私には嬉しくて、
辛くもあった。
「でねー、って、着いたね。」
「あ…はい。」
先輩がお姉ちゃんの部屋へ行ったら私は勉強でもしようかな……
あ、でもシャー芯切れてたっけ…
門扉を開けようと手をかけた時、後ろから聞きなれた声が聞こえた。
「ーーぉ、真央っ!!」
「ぇ…」
先輩と二人で声がした方を条件反射か何かで向いてしまう。


