夏菜が視界の端でおろおろしている。 それは仕方がないよね。 だって夏菜には話していないから。 私は一呼吸置いて、 ゆっくり、思い出の引き出しを開けて、 もう二度と呼ぶと思わなかった3つの名前を、 優しく発した。 「久しぶりだね。 華南、龍、……朔弥。」 また、朝感じた秋風が、 開けていた窓から私の頬を撫で、髪を乱す。 私は乱れた髪を直すこともせずに、 ただしっかりと 3人と目を合わせていた。