きょとんとした顔で立ちつくしていると、高原くんが、はぁ、と小さくため息をついた。
「……お前、わかってねーの?」
「え、何が。この騒ぎ?うん。なにかあったの?知ってるの?」
また、ため息。
さっきよりも大きな。
それに……高原くん、先生と話すときとは言葉遣いがちがう。
根っからの真面目くんじゃないってわけか。
「……お前はわかる必要ねーか」
「えぇ?なんでよ!」
「教えてほしい?」
「うん」
耳をかせ、という高原くんのジェスチャーに応えて、耳が高原くんの口元に届くように背伸びをする。
教えてくれるみたい。
「ばーか」
「……は?」
耳元に低い声が響いたあと、高原くんはさっさと向こうに行ってしまう。
「ちょっと!教えてくれるんじゃないのー!?」
周りのみんなは、やっぱり騒がしかった。
