『え~、であるからして、高校生と云う...うんたらかんたら』
異様に長い校長の話は、途中で呪文に切り替わっていった。
あの人、何回『え~』って言ったんだろ。かれこれ十分くらい話続けている気がする。よく話題持つな~...というか、眠い。
「ふぁ...」
周りを見渡すと、最早殆どの生徒が眠りの世界に旅立ってしまっている。だけど、咎めるつもりはない。寧ろ激しく同意したい。この後は新入生代表の挨拶もあるってのに。
って、あれ?代表って誰だろう。確かこのパンフレットに載ってたはずだけど...。
「えっと『藤條院 舞姫』なんだ。...ーえ。ま、舞姫?」
舞姫ってもしかして...いやいやいや!そんなわけない。だって、彼女は
『次は、新入生代表の挨拶です』
自問自答を繰り返しているうちに、いつの間にか校長の話は終わっていたらしい。
急いで視線を前に移すと、そこには精錬された動作で、壇上へ上がる一人の少女ー。
「ーっ!?」
ま、き...。
『暖かな春の日、満開の桜にー...』
つらつらと並べられていく言葉は、右から入って、左に出ていっている。けど、そんなことを気にしている暇なんてない。だって、何で、どうして。
意味を持たない言葉が頭の中を駆け巡っては消えていく。
『ー以上をもって入学式を閉会いたします』
独特な声が閉会を宣言し、私の思考はそこで中断せざるをおえなかった。
一体どう言うことなの...!?
終わらせたはずの思考は、教室に着くまで続くことになった。