「宿題は終わったし、時間あるけど何する?」
「そうだな、じゃあトランプは?」
そう言って手提げからトランプを取り出した。
「いいけど、どうせ俺が勝つと思うぞ?」
「う・・・。」
いままで、トランプで秀に勝てたものは一人もいない・・・。その反対で、僕はいつも負
け・・・。
「今日こそ勝つ!」
僕はトランプより先に気負けしないように、自分を奮い立たせる。しかし心のどこかで
は怖気づいている。
「じゃあ要から出いいよ、順番。」
ハンデのつもりか悪質な・・・。
「よし、いくぞ・・・。」
僕が早速一枚引こうと手を伸ばしたときだった。突然とんでもない奇声が養成所に響い
た。
「うあああぁぁ!!」
そして何かどったんばったんという音も聞こえてくる。
「な、何だ!?」
僕らはあわてて部屋の外に出る。そこには狂ったように暴れまわる洋子さんがいた。
「よ、洋子さん!?」
陽の呼びかけにもこたえず、頭をかきむしり、壁を強打し、近場のものを投げ捨ててい
る。
「あ、先生!洋子さんはどうしたんですか!?」
駆けつけてきた先生に質問する。先生はあわてた様子も無く、途方にくれたような目で
洋子さんを見ていた。
「あの子の家は有名な格闘家だったんだよ・・・。彼女は一人娘だから、道場を継ぐため修
行をしていた・・・。けど、お父さんの修行はいつの間にか虐待へと変わっていた。」
「え・・・?虐待・・・。」
「そうさ・・・、いつしか彼女はああなってしまったんだ。やられる前にやれという防衛心
がああさせていると思うんだ。」
「そんな・・・。なぜ、なぜ止めてあげないんですか!?」
苦しそうに暴れまわる洋子さんは見るに耐えなかった。
「・・・・・。」
先生は黙ったまま何も言わない。
「先生!」
「そうだな、じゃあトランプは?」
そう言って手提げからトランプを取り出した。
「いいけど、どうせ俺が勝つと思うぞ?」
「う・・・。」
いままで、トランプで秀に勝てたものは一人もいない・・・。その反対で、僕はいつも負
け・・・。
「今日こそ勝つ!」
僕はトランプより先に気負けしないように、自分を奮い立たせる。しかし心のどこかで
は怖気づいている。
「じゃあ要から出いいよ、順番。」
ハンデのつもりか悪質な・・・。
「よし、いくぞ・・・。」
僕が早速一枚引こうと手を伸ばしたときだった。突然とんでもない奇声が養成所に響い
た。
「うあああぁぁ!!」
そして何かどったんばったんという音も聞こえてくる。
「な、何だ!?」
僕らはあわてて部屋の外に出る。そこには狂ったように暴れまわる洋子さんがいた。
「よ、洋子さん!?」
陽の呼びかけにもこたえず、頭をかきむしり、壁を強打し、近場のものを投げ捨ててい
る。
「あ、先生!洋子さんはどうしたんですか!?」
駆けつけてきた先生に質問する。先生はあわてた様子も無く、途方にくれたような目で
洋子さんを見ていた。
「あの子の家は有名な格闘家だったんだよ・・・。彼女は一人娘だから、道場を継ぐため修
行をしていた・・・。けど、お父さんの修行はいつの間にか虐待へと変わっていた。」
「え・・・?虐待・・・。」
「そうさ・・・、いつしか彼女はああなってしまったんだ。やられる前にやれという防衛心
がああさせていると思うんだ。」
「そんな・・・。なぜ、なぜ止めてあげないんですか!?」
苦しそうに暴れまわる洋子さんは見るに耐えなかった。
「・・・・・。」
先生は黙ったまま何も言わない。
「先生!」
