『ずっと、待ってるから』
 キミはそう言ってくれた。8年前。まだ9歳だったあたしたち。あたしはあの町を去ることになった。幼なじみのキミを、大好きなキミを残して。9歳とは思えなかったその言葉に、あたしは思わず泣いたっけ。オレンジ色の夕焼け空の下で、約束したんだ。
『きっと、戻ってくる!ユウトに会いに、ユウトと笑えるように』
 そう言って、あたしはあの町を去った。
 ねぇ、ユウト。
 覚えてる?あの約束を。あたし、約束を果たしに来たんだよ?
 でもね、ごめんなさい。前のあたしとは違うことを。
 前みたいに、自分の力では歩けないことを。キミと長くはいられないことを。
 本当にごめんなさい。あたしを許してね?
 あたしと、ユウトは、運命で結ばれた相手じゃなかったんだよ。信じたくはないけどね。
 たとえ、想い合っていても。
 たとえ、忘れられなくても。
 たとえ、隣にいたとしても。
 ユウトと生きた時間は、本当に、短かった。
 でも、これだけは忘れないで?
 あたし、幸せでした。
 あの約束を交わす前から。今までずっと。
 命の灯が燃え尽きても、あたしはユウトを、キミを忘れない。
 ユウトは、あたしを忘れても構わない。キミには、あたしと違って長い、大きくて素敵な輝く未来があるのだから。
 幸せになってください。
 あたし以上に、世界で1番。
 今までありがとう。
 あたしは、18年間という命でこの一生を終えます。
 また逢える日まで。それまで、さようなら。