幼なじみ〈上〉

『またな』

俺はケンを置いて、校舎の中へと戻って行った。

絢音をどれくらい好きか、そんなものわからない。

ただ絢音がこれ以上傷つくのも、悲しむのも、見てられない。

俺の気持ちなんて、後回しでいい。


俺は、放課後、栞の買い物に付き合わされ、家へと帰った。

部活の休みのたびに、栞に付き合わされるなんてごめんだ…。

でも絢音を守るためなら仕方ないと、俺は自分に言い聞かせる。

『ただい…ま』

ドアを開けると、ちょうど絢音が玄関にいた。

スニーカーの靴ひもを結ぶ絢音は、俺と目を合わせようとしない。

『絢音…どっか行くのか?』

『蒼には関係ないでしょ?』

そう言って、そっけなく、俺の顔を見ずに立ち上がった。

『もう暗いだろ?危ねぇじゃん』

俺が絢音の腕をつかむと、振りほどかれた。

『ほっといて…!』

ーー・・・バタンッ。

絢音は、出ていった。

高橋がこんな時に、俺が栞と付き合ったことが許せないんだろう。

でも俺は、こうするしかなかったんだ…。


ーー・・・バサッ。

俺は思いきり布団の上に倒れ込んだ。

『…好きだよ』