幼なじみ〈上〉

『今朝、栞が綾音の家の前に来た。アイツ「栞の勝ち?」って言ったんだ』

すべては…栞の仕業。思惑どおりだ。

『あの女…絶対に許さねぇっ‼︎』

ケンは、拳で校舎の壁を殴った。

『でも高橋は…警察に届けないと言った。栞の思いままだ…』

『…くそっ‼︎何か方法が…』

『ケン…俺が栞と付き合っていれば、しばらくは大丈夫だろ?だからこのことは、絶対に誰にも言うな』

『蒼…おまえ…』

『俺は…ケンのこと信じてる…』

これしか方法はない。

ケンは、怒りのあまり頭を抱え、しゃがみ込む。

『ケンは…高橋のこと、支えてやって…?俺、今身動きができないし…』

『言われなくても…そうする』

『頼むよ…』

それだけ言って、俺はその場を去ろうとした。

『蒼…!』

ケンが俺を呼び止める。

納得できない…そう顔に書いてあるようだ。

『大丈夫か…?おまえは…。綾音っちのこと…』

『綾音のためだ…』

『蒼は…綾音っちのこと何もわかってねぇな…』

ケンがひとりごとのように、つぶやく。

『いや、何でもない。行けよ…』