幼なじみ〈上〉

『あたし、廊下にいるね』

そう言って、高橋は俺の肩をポンと叩く。
何も言わなくても、しっかりしろと言われてるいるようだった。

『美々ちゃん、ありがとね…』

綾音が高橋に微笑むと、高橋は
「あとで」
と言って廊下に出ていった。

保健室には俺と綾音のふたりだけになった。

綾音を見つめ、俺は深くため息をつく。

ごめんな…綾音…。

『綾音…怖かっただろ…?』

親は、ベッドに座り、綾音をそっと抱き寄せた。

『…蒼…大丈夫だよ…ごめんね…』

俺の肩に顔をうずめる綾音の声は、とても弱々しくて。

『…無理すんな』

『大丈夫…』

‘‘大丈夫’’

その言葉が、綾音には口癖になってた。

あの日からずっと。

『…俺の前では…無理して笑ったり、平気なフリしたりすんな…』

大丈夫なわけないのに頑張ろうとするから、だから心配なんだよ。

『…ホントに…ぅぅ…っ…平気…だもん…っ』

『…バカ』

ごめん…綾音…
こんな小さな身体を…
震えさせたのは…
守ってやれなかった俺のせい。

『…泣けよ』