幼なじみ〈上〉

『絢音…高橋が自殺を図ったことは、おまえのせいじゃない。おまえは最初から何も悪くない…』

『何でそんなこと言えるの…?あたしのせいだよ!』

『夏川が企んだことだ。おまえは何も悪くない』

蒼のまっすぐな瞳は。

蒼の迷いのない視線は。

ときどき…目をそらしたくなる。

『あの海に向かう途中…何も覚えてないの…。ただ…暗くて、孤独から逃れたくて…弱い自分さえも憎くなってくる…。美々ちゃんもきっと同じ気持ちだったはず…』

『高橋を暗闇から連れ出してやるのは、俺らしかいないだろ…?』

『…蒼』

『おまえは…もっと自分を想ってくれてる人を大切にしろよ…。おじさんもおばさんも…ケンや高橋も…みんな絢音のこと好きなんだ』

自分を大切にしてくれる人…。

『悲しませんな…俺のことも…』

蒼の唇が、あたしの唇に重なる…

涙がこぼれた。

温かく触れ合うぬくもりは…全身を伝う・・・--。

゛悲しませるな…俺のこと゛

蒼の言葉が頭の中で繰り返される。

ごめんね…蒼。

泣いたのはあたしだけじゃなかった。

弱さを見せたのは蒼も同じだった。

誰もが弱さを持ち合わせている。

弱さを隠すことが強いことじゃない。