幼なじみ〈上〉

蒼は、いつもより優しい口調だった。

『夏川のことなんだけど…』

今は、聞きたくない名前だった…。

『もう…絢音は、何も心配しなくて大丈夫だから…』

『大丈夫って何が…?』


あたしは、蒼から栞が今までしたことすべて聞いた。

栞の過去も…。

蒼が栞と付き合ったのは、あたしと美々ちゃんのためだったことも…。

『何で…?何であたしに言ってくれなかったの?』

栞と付き合ったことが、どれだけショックだったか…蒼にはわからないでしょ。

『ヘマするわけにいかないだろ?絢音、嘘つくの下手じゃん』

『でも…』

『夏川は計算高いし、疑われたらネガを取り戻すどころじゃなくなるし、何されるかわかんなかっただろ?』

それでも言ってほしかったよ…。

『ケンにはさっき言っておいたし、ネガも明日、高橋に渡してくるよ。だからもう…』

『大丈夫って言いたいの…?全然大丈夫じゃないよ…』

美々ちゃんの傷あとは、決して癒えることない。

どれだけ悲しくて、どれだけ苦しいか…。

想像しただけで怖いのに。

あたしだったら…自分の存在さえ消し去りたくなる。