幼なじみ〈上〉

絢音の頬を叩きながら、必死に呼びかけた。

『…。』

『絢音…俺だよ…』

『…あ…蒼…っ…』

小さく、か細い声。

うつろな瞳で俺を見つめた。

『…絢音…よかった…』

俺は、絢音を強く抱きしめた。

絢音の頬に、俺の目からあふれた涙の雫がポタポタとしたたり落ちる。

悲しみの果てに残ったモノ…それは、キミへの確かな゛愛゛。

俺の中の誰よりもかけがえのない存在だということに、改めて気づかされた。

絢音の温もりを腕の中で感じながら…誰もいない夜明けの砂浜で、静かに流れ始めた波の音を聞いていた。


[ 絢音 ]

・・・。

…霧の向こうに誰かが見える…。

『…き…だ…』

…聞こえない…顔も…霧で…よく見えない…。

…誰?…男の…子…?

『…好き…なんだ…』

…この声…どこかで…。

…顔が…見えない…。

『…絢音…バイバイ』

あたしは…もしかして・・・--?

もしかして…

『俺のこと…忘れたの…?』