幼なじみ〈上〉

俺は…絢音と唇を重ねた。

気道を確保して、息を吹き込む。

俺の意識も朦朧としていた。

ただ…必死で…絢音を助けたい。

…それだけの気持ちだった。

『しっかりしろ…絢音』

おまえがいなきゃ、俺は…。

『まだ伝えてねぇよ…』

おまえに゛好き゛だって。

自分の口から伝えてねぇよ。

おまえが死んだら言えないだろ?

なぁ…言わせてくれよ…俺に。

ずっと言えなかった、この気持ちを…。


少しだけ空が明るくなっていた。

さっきより絢音の顔がよく見える。

冷たい絢音の頬に触れた。

青白くなった冷たい肌…紫色の唇…目は閉じたままだった。

『…絢音…絢音…しっかりしろぉ…』

何度も唇を重ねた。

死んじゃ嫌だ…。

神様…絢音の命が欲しいなら、代わりに俺の命をあげます。

俺の気持ちを伝えられなくてもいいから、絢音の命だけは助けてください。

『…絢音を…助けて…っ…』

横になっている絢音のそばでひざまずき、絢音の顔を抱き寄せた。

『…ゲホッ…ゲホッ…っ…』

絢音がむせて、その瞬間に口から水が噴き出し、ゆっくりと目を開ける。

『あ、絢音!…絢音…わかるか?…』