幼なじみ〈上〉

そう言って俺は、夏川をキツく抱き締めた。

『…蒼くん、どぉしたの?』

『…別に』

『…何か、あったのぉ?』

俺の胸の中で、夏川が甘ったるい声で聞いてくる。

『…何もない』

『今日は朝まで…そばにいてあげるよ…』

『…本当に…?』

『…いいよ…何かあったみたいだし…栞が慰めてあげる…』

夏川が俺の胸に耳を当て、きつく抱き締める。

それから俺たちは、駅の方へと向かって歩き出した。

たくさんのネオンが光る、駅前のラブホテル街。

左右どちら見てもラブホテルばかりで、カッブルしか道を歩いていなかった。

俺は夏川の肩を抱き、その中のひとつのホテルに入っていった。

『ねぇ…栞、この部屋がいいな』

『俺は何でもいいよ』

俺の胸にべったりとからみつく夏川が、ニコッと笑う。

部屋に入ると、大きなベッドが真ん中に置いてあった。


『何か飲む?』

夏川は、慣れたように冷蔵庫を開けて聞いてくる。

『うん』

『お酒?』

『水でいいよ』

『はい…水。栞、シャワー浴びるね?』