幼なじみ〈上〉

絢音の呼吸がもとに戻り、手足がしびれると言うので、静かにベッドに寝かせた。

『大丈夫だ』

そう言って絢音の髪をそっとなでた。

やっと忘れかけていたのに…あの時のこと…。

絢音の心に深く刻まれた傷あとがまた・・・--。


ーー・・・。

絢音が眠りについた後…俺はアイツに電話した。

プルルルッ・・・。

゛はいはーい?蒼くん?゛

その甲高い声が余計にいら立たせた。

『栞?今から会いたいんだけど…』

俺は必死で演技する。

゛今から?…何かあったの?゛

『何か…急に、栞に会いたくなって…』

゛どういう風の吹き回し?゛

『無理なら、いい…』

゛ふふっ…大丈夫だよ。どこに行けばいい?゛

電話を切り、俺は急いで家を出て、待ち合わせ場所に向かった。

急がないと…絢音が壊れるその前に…。


真っ暗な夜の公園、外灯だけが唯一の光だった。

噴水の前に夏川が立っている。

『遅ーい。呼び出したの蒼くんなのにぃ』

『ごめん』