[綾音]

ーー・・・運命は。
突然狂い始める…。

あたしの名前は鈴ヶ森綾音。
今日から高校1年生。
部屋で新しい制服に袖を通し、鏡の前でくるりと回る。

『綾音〜!蒼くんが迎えに来たわよぉ〜!』

下の部屋から聞こえる、大きなママの声。
『はぁーい!今行くーっ』

ドダダダダッ・・・・ーードスンッ。

『イッ・・・・たぁ・・・』

あわてて階段を駆け降りたら、その途中で思いきり転げ落ちた。

『朝からコケるなんて、ホントばかだな・・・』

うつ伏せに倒れ込んだあたしの前で、呆れて立っている男の子。

『蒼〜っ』

あたしは顔を上げ、蒼に手を伸ばした。

『ほらっ』

蒼は
「相変わらずドジだな」
と呆れた様子で、あたしの手をつかみ、身体を起こしてくれた。

手をつかんだまま、蒼はあたしの顔をじっと見つめる。

『・・・・何?あたしの顔に何かついてる?』