「そうだよね・・・そうだよ。

社長と私なんて雲泥の差。月とスッポン。

一緒にいられたのなんてただの偶然、

社長の気まぐれ」


…そうでも思わないと、

英志の傍を離れるなんてできそうになかった。

一緒にいる事に安心し、

一緒にいる事に喜びを感じ、

元気の源だった。


そんな英志の傍を離れるにはそれなりの理由が必要だった。

ベッドに潜り込み、何度も呪文のように唱えてみたものの、

それなりの理由なんてどこにもなかった。


「離れなきゃいけなくなるの分かってるのに・・・

なんですきになっちゃったんだよ・・・」


部屋の中一杯の声を、布団の中で叫びながら、舞は泣き続けた。

次の日、どんな悲惨な顔になろうと、

今はどうでもよかった。