それから舞と貴洋は、会社近くの喫茶店に入った。

しかも、あまり人が出入りしないような、

一番奥の席に行く。

2人はコーヒーを頼み、それが来ると、

店内の音楽だけが響いていた。


・・・早く帰りたい舞は、その沈黙から抜け出そうと、

言葉を放った。


「一体、大事な話ってなんなんですか?」

その言葉に、少し溜息をついた貴洋は、

やっと本題に入り始めた。


「…社長の事なんだけど」

「…社長ですか?・・・何で私に?」

「二人が一緒に住んでる事を知ってしまったから」

「・・・・」

2人の秘密の同居は、どういう経緯か知らないが、

貴洋は知ってしまったようだ。

黙り込む舞をよそに、貴洋は話しを進めていく。



「今、社長は、自分の地位が危ういと言う事を、

きっと知らない」


「…エ?!どういう意味ですか?」

なんだかただ事じゃない事を感じ取った舞は、

貴洋に問いかけた。