勿論、見たかった映画だったが、

貴洋が誘ってくれたのだ、断る理由なんてどこにもない。

ただ嬉しくて、嬉しくて。


「・・・でも、あの、私でいいんですか?

・・・彼女とかと行かなくてもいいんですか?」


嬉しかったけど、貴洋には彼女がいると噂があったので、

急に舞は不安になった。


「あ~・・・

あれな、ただの噂。彼女がいたら、舞ちゃん誘ったりしないだろ?」


「・・・そっか、よかった」


「・・・ん?」


「い、いえ、でも、何で私を誘ってくれたんですか?」

「前、加奈ちゃんと、この映画の話ししてるのたまたま聞いてさ、

舞ちゃん凄く見たいって言ってたから・・・それだけなんだけど。

…嫌なら「そんな、さっきも言いましたよね、是非行かせてください」


貴洋の言葉にかぶせて舞が言ったので、

やっぱり貴洋はクスクスと笑っていた。


「舞ちゃんて、楽しい子だよね」

「そんな」

「そんなとこ、好きだな」