すべての用を済ませた舞と英志は、

最後にスーパーに立ち寄った。

「…ここに入るのは初めてだな」

その言葉に目を見開いた舞。

でもすぐに、声をあげて笑った。


「きっとご実家では、料理は出してもらってたでしょうし、

今も外食ばかりだと言ってましたから、仕方ないけど、

こうやって、色んな食材を見て、新鮮な物を買って、

家で料理して食べるのはまた、一味違ってきますよ」


そう言いながら、呆気にとられる英志を従えて、

次々に買い物カートに食材をいれていく舞。


会計に来て

「先に車に乗って待っててください」

「こんな荷物、一人じゃ持てないだろ」

そう言いながら、カバンから財布を出そうとする舞を制止して、

英志はさっさと財布からお金を出した。


「ここは私が」

「女に金を払わすのは、好きじゃない」

「でも」

「遠慮は禁止だと言っただろ」

「…そうでしたね。それじゃあ・・・」

お願いしますと言った。