困惑する舞を、英志は店の中から連れ出すと、

自分の車に乗せた。

そして、英志のマンションに向かって車は発進した。



「そんな顔をするな。

今のところ、下心はない」


「?!」

い、今は?!

その言葉に驚き、微妙に英志から体を離した舞。

それに気づいた英志はフッと笑った。


「お前が、あの男を忘れるまででいい・・・

俺の事を、好きになる必要はない・・・

もう泣かなくてよくなる日まで、お前の傍にいさせてくれ」


…本当は、舞が、自分を好きになってくれたら、

どんなに幸せだろうか?

でもしかし、舞の心の中には、あの男、貴洋がいる。


自分の気持ちを押し付けてまで、

自分の物にしようとは思わない。

愛する女が、心から笑ってくれるその日まで、

英志は、舞を守り抜こうと決めた。