舞の言葉に、一瞬面食らった顔をした英志。

舞の口からそんな言葉が出てくるとを、

これっぽっちも思っていなかったからだ。

でもすぐにそれは喜びに変わり、英志はフッと笑った。


「俺は何も・・・

舞が心穏やかになったなら、それだけでいい。

今日も、仕事だな…家まで送ろう」


「そんないいです!

始発で帰って身支度をしても、会社には間に合いますか‥」

そこまで言って、急に言葉を出せなくなった。


なぜなら、舞の唇に、英志の人差し指が押し当てられたから。


「俺は舞を送り届けたい。

一人で帰すなんて事は出来ない」

「ですが」

困った舞を見て、それでも英志は自分の気持ちを譲らなかった。


「人の好意は、素直に聞く事だな」

「・・・・はい・・・では、お願いします」

そう言って困ったように笑った舞を見て、英志も満足そうに微笑んだ。


そして家まで送ってくれた英志は自分の家に一度帰ると、

車を発進させようとした。

「社長」

「・・・どうした?」