英人が、休日出勤していた人とぶつかってしまい、

その場に尻もち。

まだ1歳の英人は驚きのあまり泣き出した。


「あ~、ゴメン、驚いたか?」

そう言って、英人を抱き上げた相手は、優しく頭をなでなで。


「すみません」

舞はその人の前まで来ると一言謝罪した。



「いいえ、私の方こそ、突然角から出てきてしまって・・・

…あれ、君、…舞ちゃん?」


「・・・え?」

舞の顔をマジマジと見つめた相手が呟いた。

しばらく考えていた舞も、相手の顔を見て、思い出した。



「優ちゃん?」

「そう、やっぱり、舞ちゃんだったんだ。

オレの事、憶えててくれたんだね」

そう言って微笑んだ、『優ちゃん』


…水城優(みずきゆう)30歳。

高校まで舞の家の隣に住んでいた優しいお兄さん。

舞は、ずっと優ちゃんと言って慕っていた相手だった。