…妊娠10ヶ月。予定日当日に、可愛い男の子を産んだ舞。

子供の名前は英人〔ひでと〕

舞が英志そっくりな赤ちゃんだった為、

どうしても、英志の名前から、一字取りたいと言って、この名前になった。

育児が始まってからは、仕事を一年間休んでいた舞だったが、

英人が一歳になり、保育園に入れると、仕事復帰した。

…相変わらず、次の秘書が見つからない英志の為に、秘書として、復帰したのだが。


「社長」

「…なんだ?」

「仕事をするき、ありますか?」

呆れ気味に英志に言った舞。

「当たり前だろ?今は仕事中だ」

「・・・」

口調は至って冷静だったが、

英志の手は、舞の腰に回され、後ろからしっかり抱きしめている。

当の舞は、本棚の上から、ファイルを取ろうと手を伸ばしていた。



「…これのどこが、ですか?」

舞は困惑の表情でそう言った。


「…少しくらいいいだろ?

家では、英人に舞を取られてばかりなんだから」


…そうなのだ。

保育園から帰って来た英人は、

ずっと舞にベッタリだから、英志は英人が眠るまで、

舞を自分のモノにできない。

…息子に、嫉妬中なのだ。