長嶋の言葉に、静香は静かにコクンと頷いた。

・・・そして、長嶋に連れられ、

静香はその場を後にした。


…これでもう、本当に、スキャンダルなんて

どこにもなくなった。


「…静香さん、分かってくれたでしょうか?」

車の窓の外を眺めながら、舞が言う。


「・・・あぁ、きっと三井さんは分かってくれたはずだ。

・・・彼女にもいつかきっと、俺なんか目じゃないくらい、

大切な人が出来る・・・」

真っ直ぐに前を見つめたまま英志が言った。



「…英志さん」

「・・・ん?」



「別れようって言葉、結構傷つきました」

「…舞、それは」

丁度赤で止まった車。

英志は、舞の方を見て、少し慌てる。


「…例え演技でも、好きな人からの別れの言葉は辛いものですね」

「…悪かったな、辛い思いさせて。

でも、ああでもしなきゃ、犯人が現れないと思ったからで」

どうしていいかわからない英志は、色んな言葉を並べるが、

舞は英志の方を見はしなかった。