美津子は、忠行と裕次郎を見比べた。

2人は対照的な容姿をしている。


忠行は、背が高くスレンダーで、少し白髪交じりの

今風な髪形をした爽やかな中年男性。


方や、裕次郎はさほど背が高いわけでもなく、

体系も少しばかりぽっちゃり系。

その辺にいる中年サラリーマンとさほど大差のない

顔立ちをしていた。


昔も、今よりしわが少ないそんな容姿。

でも美津子は、昔も今も、裕次郎を心から愛している。

仕事では厳しい人だが、プライベートでは本当に優しい男だからだ。


「アナタは、私と結婚したこと自体、間違いだった。

そう言いたいのね?」


「いや、だから違うと言ってるだろ?」

こんな会話を、忠行は、どう仲裁しようかと、

困りつつ、見守るしかなかった。




「忠行さん」

「はい、なんでしょうか、美津子さん」


「この人に、私は必要ないみたいですから、

離婚届の、証人になってくださいな」

「は?!」


「美津子、何をバカな?!」