舞の両親と会ったあの日以来、

舞の様子が明らかにおかしかった。

英志は何度もその理由を尋ねたが、舞はなんでもないの一点張りで。


そんな二人の関係は、

日に日に崩れ始めていた。

ただでさえ、お互い忙しい身。

会う時間もほとんどない上に、電話で会話する事も出来ない。


ましてや舞は、英志と更に距離を取っていて、

英志には、どうする事も出来なかった。


そんな英志も、気がかりな事があった。

あの日、舞が出た電話の相手が誰なのかという事。


人の携帯を見て、いい事は何もない。

人の携帯は見るもんじゃないと世間では言われている。


そんな事は英志も分かっていた。

でも、これ以上、舞との関係をこじらせたくはなかった。


「・・・・・」

舞がお風呂に入っている間に、英志はそっとそれを見た。

あの日、あの時間にあった着信相手を見て、

英志は舞の行動がなんとなく理解できたような気がした。