デートと言っても、どんなことをすればいいのか、

英志は知らなかった。

女性と二人で会う時はたいてい夜。

食事をするくらいの事しかした事がなかった。


「舞の行きたい所は?」

そう言って英志は、舞に行先を決めさせた。


「行きたい所ですか?

・・・うーん、・・・その前に、英志さんの格好をどうにかしてください」

「・・・え?」


舞は、英志の服が入っているクローゼットの中を漁り始めた。

英志は、今日も、朝からスーツ姿だったからだ。

高級なレストランなら、正装も必要だろう。

だが、舞の行きたい所は、そんな高級な所じゃなかった。


「あるじゃないですか、これに着替えてください」

「・・・わかった」

渡された服。

それはジーンズに、Tシャツ、肌寒い時もあるから、

上からはおるラフなシャツ。


「これでいいのか?・・・着慣れない服だな」

そう言って英志は苦笑いをした。

毎日仕事ばかりで、たまの休みも、会社にいるような人だ。

ジーンズも、この一枚しか持っていなかった。