「もう、彼女を追いかける事は、やめた方がいいのか?」

「…大高副社長は、娘さんの、何かの事情知っているようですが。

だからこそ、諦めてやってくれと言っているんでしょう。

…出過ぎた事を言うようですが、諦めた方が、

彼女の為になるかもしれません・・・」


そう言って、長嶋も社長室を出ていった。

英志は大きな溜息をついた。

諦めるか。

まだ、追いかけるか。

どんなに考えても、答えは出なくて。

ただ、時間だけが過ぎていく。


ただ一途に、舞を一人の男として愛したいだけなのに。

それすらも許されないのか?


そう思うと、胸が苦しくて仕方がなかった。


・・・午前0時。

長嶋は先に返していた英志は、

一人、駐車場に向かって歩き出した。

家に帰らなければ。

そう思い、重い腰を上げた。


駐車場に着き、車に乗り込んだ時だった。

突然の着信。

…出る気にならなかった。