「貴洋さんが提案してくれた通りに、

店を改装して、この通り、お客さんも増えました」


「そう、それはよかった」


…舞は黙って二人の会話を聞いていた。

門倉はこの店の経営者だが、

立て直しの為に、貴洋の力を借りた事は分かった。


…しかし、それより驚いたことは、

岡崎物産のライバル会社である長嶋コーポレーションに、

移った事だった。


どう言う経緯で長嶋に入ったかは知らないが、

英志を敵視している貴洋は、長嶋に情報をリークしていないか、

その事が気がかりでしょうがなかった。


「私は仕事に戻りますので、失礼します」

そう言って舞は二人から離れた。


「舞ちゃん舞って」

門倉との会話を済ませ、貴洋が舞の傍に来た。


「・・・何か?」

舞は事務的に会話をする。


「社長とは、連絡取ってる?」

「・・・いえ」

「そっか、じゃあ、オレが長嶋に移った事は、

バレナイな」

そう言って微笑んだ貴洋は、軽く挨拶をすると、

店を後にした。