舞いとっての厄日は、この日だけだったようだった。

英志にも、貴洋にも、それ以来、会う事はなかった。


・・・そんな中、久しぶりのお休みに、

舞は久しぶりに、実家に帰る事になった。

本当は、帰る予定ではなかったが、

父、忠行に呼ばれたからだった。


「ただいま、ママいる?」

「お帰りなさい、舞」

いつもの優しい笑顔で出迎えた母。

舞は、安堵の溜息をついた。

…父は怒ってはいないようだ。


突然実家に戻ってこいと連絡が来た時は、

明らかに父の声が怒っていた。

しかし、自分は、怒らせるような事をした覚えはなかった舞は、

何事かと帰って来た。


「パパは?」

「奥の応接室にいるわよ」

母の言葉に頷いた舞は、応接室まで行くと、

深く深呼吸した。

…舞にとって父は、昔も今も、偉大な人だからだ。