英志が会社の事、舞の事に悪戦苦闘している最中。

舞はと言うと、街中にある小さな花屋兼喫茶店で、

これからの事を考えていた。


・・・仕事はどうしようか?

・・・この際だから、実家に戻ろうか?

仕事を始めると同時に、舞は家を出て、1人暮らしを始めたわけだが、

仕事を失った今、貯蓄はしているものの、

次、どんな仕事に付けるのかなんてわからない。

…この不景気、もしかしたら、バイトとかしかないかもしれない。

そう思うと、不安なのは事実。


「何やら考え事ですか?」

「・・・え?」

いつもなじみのこの店で、店員に声をかけられたのは初めてだった。

舞は、上を見上げた。

すると、20代後半の爽やかな青年が頼まれた紅茶をテーブルに置いた。


「…お仕事、お探しですか?」

「・・・なんで」

自分の考えていた事を見透かされ、舞は驚きの眼差しで店員を見つめた。

「それ・・・」

そう言って、舞の手を指差した店員。


「・・・・あ」

なるほど。職探しの本を手に持っていれば、

誰でもわかる。

そう思うと、舞は自然と笑いが込み上げた。