怒りの感情をあからさまに出した英志を、

初めて見たからだ。


そんな時、もう一本電話が入った。

「はい、社長室です」

電話にでられそうにない英志の代わりに、

長嶋がそれに出た。

…内容を聞き、見る見るうちに、顔色が変わっていく長嶋。


「おい、どうした?」

「・・・」


「どうしたって聞いてるんだ」

「…社長を、辞めさせようと、半数の役員たちが、

言っていると・・・

今、大会議室に、すべての役員が揃っています。

…今すぐ、社長に来るようにと、・・・」


低くて、少し震えた長嶋の声。

・・・英志は、溜息をついた。



「…意外に早かったな」

「・・・え?」


「俺を失脚させる動きがあるくらい、知ってたさ」

「社長」