…玄関の前、2人は仕事の為に、今そこにいた。


「仕事が終わったら、ここで待っててくれ」

「・・・はい」

すぐに返事が出来ない舞。

嘘でもはいと返事をするしかなかった。


「気をつけていけよ」

「・・・わかってます」

そうして二人はキスを交わした。


笑って手を振った舞。

その笑顔を見たのは、その日が最後だった。



・・・その日、舞は、部長に、辞表届を提出した。

会社にいる以上、英志と必ず顔を合わせてしまう。

そんなに苦しい事なんて他にはなかった。


英志の為に舞が出来る事。

それは完全に英志の前から姿を消す事だった。