孝太先輩は、非常階段で足を止めた。

『なに?』

とっとと用事をすませてくれないかな。

私はいらいらと貧乏揺すりをする。


『璃子…あのさ。俺たち、やり直せないかな…。やっぱり、俺、璃子が忘れられなくてさ』

は?
ないないない。

だって…

『私、今ほかに好きな人がいるから。だから、ごめんなさい』

そう言って、非常階段から出ていこうとしたら、

『璃子っ!!』

突然、後ろから孝太先輩が抱きついてきた。

『…っ!』

驚いて声も出ない。
必死で抵抗するけど、男の人の力にはかなうはずもなく、孝太先輩の腕はびくともしない。


『相手がストーカーになっちゃうとか、力づくでってこともあるんだからね』

いつかの沙紀の言葉が頭をよぎった。


怖い!!


『や、やめてよっ!!離して!』

私は必死で声をだした。


その時ー