兄さんの家をでて五分ほどたった頃だったと思う

この町が運営する緑地公園で耳に優しくない叫び声が聞こえた

子供数人が泣き叫んでいるようだった

見過ごすわけにもいかないので公園内に入り
声の主たちを探す


生憎、僕は目が悪い

ただでさえ
公園は広くて少し見渡しただけでは到底公園全体を把握することはできないのに

僕の視力だと5m程先にある滑り台が黄色い象を模していることぐらいしかわからない


目が使えないなら耳をと思うが

僕は、音で人の居場所を特定するのはかなり苦手だった

それに泣き声が大きすぎて右からなのか左からなのか前からなのか後ろからなのか

全く見当も付かない

仕方が無いので
虱潰しに歩き回ることにした

「全く…老体にはこたえるよ……」
最近の口癖……


あ、そうそう忘れちゃいけない

僕が見た5m程先にある滑り台は
もっと近くでみたら
キリンを模していました。