誰もが言葉を失う。

狂っていた。

完全にあの男は狂っていた。

あんな男が、世界統一政府軍を率いる者なのか。

あんな狂気に駆られた男が、R家財閥当主として、支配層に立とうとしているのか。

そんな中。

「俺が最も許せないのは合法である事を盾に他者を踏みにじる蛆虫どもだ」

進藤が呟く。

「何が聖戦だ、何が裁きだ、何が断罪だ」

進藤はギリッと歯噛みした。

「てめぇのやってる事正当化して、他人を踏み躙ってるだけじゃねぇか。他人の命を怠惰だの無意味だの、勝手に悪く言って自分が正義の味方気取ってるだけじゃねぇか」