倉本と巽が歩くこの周辺には、もう民間人の姿はない。

無事避難を終了しているという事か。

それとも、ブルトザオガーによって虐殺されたという事か…。

「10億人まで人口を減らすとか言ってましたね、谷口の野郎…」

巽が憤りを露わにする。

「選民思想のつもりか。胸糞悪ィ」

「……」

倉本は無言のまま歩く。

確かに食糧難、資源枯渇、人口が増えすぎる事で頭をもたげる問題は数多く存在する。

だがその為に、間引きする事など絶対にあってはならない。

ましてや権威に弱いアジア系の人種を多めに残し、あとの大半は減らせばいいなどと…。

口にするのも吐き気がする台詞だ。