翌日、現場から約20キロ離れた山中で、集団自決した艦長と政治将校を含むアジア某国工作員十数名の遺体が発見される。

検視の結果、自決した政治将校は、青酸カリを服毒して倒れた部下の頭部をトカレフで撃ち抜いて止めを刺した後で、自らも青酸カリを服毒した上に頭を撃ち抜いて死亡した事が判明し、社会を戦慄させた。

アジア某国の工作員は、一種の宗教とも言われている主体思想によって理論武装をし、李氏朝鮮時代のような朱子学に基づく特異な死生観を保持しており、任務遂行の為ならば自決も殺人も厭わないのである。