部屋に入ってきたのは。

「失礼します」

マクナイトだった。

「……」

ドーベルは何とか冷静さを取り戻す。

「よろしかったでしょうか?随分と荒れておられたようでしたが」

マクナイトが言う。

分かっているのならば入ってくるなと言いたい所だが、まさかマクナイトの前で要塞が奪われた事で荒れていた、などとは言えない。

努めて冷静を装うドーベル。

「メキシコ近隣のMOAB爆発による被災者の救出作業、終了しました。幸い近隣に住民はいなかったようで、人的被害は奇跡的にゼロです。尤も、麻薬カルテルのロス・セタス構成員は巻き込まれた模様ですが…」

「そうか」

ドーベルは頷く。

「ロス・セタスの連中などどうなっても構わん」

「……」

相手が麻薬カルテルとはいえ、軍の中将が言う事か。

マクナイトは内心悪態をつく。