拉致された戦術自衛隊員二名は、アフガニスタン山岳部にある収容施設に拘束されているとみられる。

ヘリで一気に向かえばいいようなものだが、そこに到達するまでに、テロリスト達がFIM-92スティンガー(携帯式防空ミサイルシステム)やRPG-7(ソ連の開発した携帯対戦車擲弾発射器)で武装して潜伏している為、迂闊に上空を飛行できない。

陸路で収容施設まで近づくのが、一番安全で確実な方法だった。

川岸で爆発の水飛沫が上がり、弾丸が何度も頭を掠める中、M16A2を撃ち続けるマット。

マクナイトやジェフも、地面の傾斜を遮蔽物としつつ、向こう岸の敵兵士に向かって発砲する。

敵は軍需産業連盟と組んだPMSCsのコントラクターだった。

世界各地の戦場を転戦し、金の為に戦闘行為を行う戦争請負人達。

とはいえ実戦経験豊富で、あらゆる戦場での任務、武器、活動に精通している。

訓練ばかりで実戦経験の乏しい正規軍の兵士よりも、ずっと手強い存在だった。