見上げても頂上の見えないような絶壁を、腕力と脚力だけで登り続ける。

僅か数ミリのクラック(割れ目)に指の第一関節のみを引っ掛け、全体重を支える。

体重だけではない。

銃や弾薬といった装備品を身に付けてのロッククライミングだ。

まさに陸海空、活躍の場を選ばないSEALならではの任務。

そろそろ腕の筋肉に乳酸が溜まり、悲鳴を上げそうになる頃、二人は何とか一息つけそうな足場に到着する。

ここから、数メートル向こうの足場に飛び移る。

「じゃあなスティングレイ。向こう側で会おう」

助走をつけ、トライデントは足場を飛び移る!

30キロ近い装備品を身に付けていながら、抜群の身体能力で跳躍するトライデント。

流石だ。

続けてスティングレイも跳躍するが。

「!!」

やや跳躍が足りなかったのか、スティングレイは足場を踏み損ねて岩肌を滑落する!

「摑まれ、上がって来い!」

叫ぶトライデント。

大きく身を乗り出し、滑り落ちるスティングレイの腕を咄嗟に摑む!

絶壁の下へと転がり落ちていく岩の破片。

あともう少しで、スティングレイも転がり落ちる所だった。