山肌に背中を付け、狭い足場を横歩きしていくトライデントとスティングレイ。

足元数センチ先は、数百メートルの断崖絶壁だ。

落ちれば命はない。

そんな場所を命綱も無しに進む二人。

だが、これがSEALの任務のセオリー。

『こんな場所から来る筈がない』と誰もが思う場所だからこそ、敵の警戒も手薄であり、付け入る隙がある。

それを可能にするだけの訓練を、SEAL隊員は繰り返している。

ある程度山肌を進んだ所で。

「ここで俺が合図するのを待て」

トライデントは狭い足場で体を反転させ、今度は岩肌にしがみ付く。

フリークライミング。

岩肌をよじ登る気だ。

「よし…岩肌の状態はいい、脆くもないし滑ったりもしないようだ。ついて来い」

垂直の岩壁を登りながら言うトライデント。

同じ要領で、スティングレイも岩肌に手をかけた。