…その様子を、一機のヘリがホバリングしながら監視している。

MH-6リトルバード。

軽汎用、攻撃強襲用ヘリコプターである。

アメリカ陸軍も運用しているヘリであるが、このリトルバードには首無し騎士の部隊マークが描かれている。

世界広しといえども、この首無し騎士を部隊章としているのは一つしかない。

「…派手にやられているな」

リトルバードの後部ハッチから顔を覗かせるのは、黒いバンダナを巻いた男だった。

PMSCs『デュラハン』の傭兵、フリッケン・ガイスト。

彼は小川小隊から要請を受け、マクナイト分隊の救出任務を帯びていた。

「MOABの爆発から、よく生き残れたもんだ…その上、連隊規模の部隊の指揮官を狙撃とは…無茶をやる」

『そんな事はいいの…ガイスト、マットは平気なの…っ?』

無線でガイストに呼び掛けるのはコートニー。

いつもの口調だが、少し焦りの色が窺える。

やはりマットの事が心配なのか。

「ここからはマットの姿は確認できない。タスクフォースの交信を傍受していた限り、別の場所で待機しているらしいが」

『ガイスト』

コートニーが縋るように言う。

女性にこんな言い方をされると、ガイストも弱かった。

「分かっている…任務は任務。キッチリこなすさ」