Task Force-特別任務部隊-

遮蔽物に身を隠し、廃墟と化した建物の中を通り抜け、マクナイト達は進む。

前方異常なし、音を立てずに進行していく。

「聞こえるか」

マクナイトが聞き耳を立てる。

「敵のヘリだ、伏せろ!」

指示を受け、遮蔽物のそばでしゃがむジェフ。

頭上を、UH-60ブラックホーク が通過していく。

タスクフォースの使用しているものと同型だが、塗装や部隊マークが違う。

そういえばANも鹵獲したブラックホークヘリを使用していると聞いた。

「よし、行こう」

ヘリをやり過ごし、マクナイト達は再び移動を開始する。

見晴らしのいい場所を駆け抜けていると。

「!」

履帯(キャタピラ)の音が耳に入った。

「伏せろ、早く!」

マクナイトにも聞こえたらしく、伏せるように指示する。

今だおさまらない砂嵐に紛れ、匍匐前進。

どんどん近づいてくるキャタピラの音に加え、複数の話し声や足音も聞こえる。

「落ち着け…敵の数が多過ぎる。このままやり過ごそう。発砲せずずっと伏せているんだ」

小声でマクナイトが指示する。

息を殺し、頷くジェフ。

少しずつ、少しずつ匍匐前進。

音はどんどん近づいてくる。

移動する時はゆっくりと慎重に、慌ててはいけない。

僅かに顔を上げると、至近距離を敵兵士達が歩いているのが見えた。

極度の緊張感が、二人を襲う。

デザートカラーのACUを纏っている為、砂埃と地面の色とでカモフラージュになっているとは思うが、本当に発見されないだろうか。

少しでも動けば、見つかってしまうかもしれない。

すぐ脇を、兵士が通過する。

キョロキョロと周囲を見回すのは、マクナイト達を探しているのだろう。

だがそのマクナイト達が、まさか足元で伏せているとは思わないのか。

下を見る事はない。

万が一足元を見られれば最期だ。

こんな姿勢では、逃げる事も反撃する事も出来ない。

頭を撃ち抜かれて即終了だ。

地面に、砂になり切る必要がある。

鼓動が聞こえてしまうのではないかと思うほどに、暴れている。

息を殺し、呼吸音さえも押さえ込む。

横を通過するのは、T-55中戦車。

たった4名の分隊を狩るのに、あんなものまで持ち出しているのか。

ジェフは背筋に冷たいものを感じる。