「いいか、サンダース軍曹」

マクナイトは言う。

「もうこれ以上、エヴァーズマンは移動は無理だ。グライムズに救護ヘリを要請させ、搬送させる。だがヘリがいつ到着するとは言えん。その間、我々が敵部隊を足止め、引き付ける必要がある。そこでだ」

マクナイトはジェフの肩を叩いた。

「俺とサンダース軍曹の二人で敵部隊に密かに接近し、敵部隊の指揮官を狙撃、指揮系統の無力化を図る」

「…!」

ジェフの表情が強張った。

2000もの部隊に二人だけで接近し、指揮官を狙撃だって?

見つかれば勿論只では済まないし、狙撃が成功したとしても、その後の離脱は至難の業だ。

報復の為に追撃してくる部隊の攻撃は、今よりも激しさを増すだろう。

「だが、グライムズの救援要請の時間を稼ぐ事は出来る。負傷したエヴァーズマンを連れての進軍よりは、全員無事での離脱の確率が高い」

敵部隊指揮官の狙撃。

ジェフのM4カービンもマクナイトのM16A2も、最大射程は500メートル。

狙撃の精度を高めるなら、更に接近しなければならない。

大部隊相手に、たった二人で。